不動産店で賃貸住宅について相談する高齢女性と担当者
年齢だけで諦めず、貸主側の不安を減らす準備と相談先を整理しましょう。

「高齢になると賃貸住宅を借りられない」と聞いて、不安に感じる方は少なくありません。結論からいえば、年齢だけで必ず断られるわけではありません。ただし、若い世代と比べて候補となる物件が限られたり、緊急連絡先や保証会社など追加の条件を求められたりすることはあります。

貸主が気にしている点を知り、収入・連絡体制・入居後の支援を先に整理しておくと、相談は進めやすくなります。この記事では、高齢者が借りにくいといわれる背景と、部屋探しの具体的な準備を解説します。

この記事の内容
  1. 高齢者は本当に賃貸住宅を借りにくい?
  2. 大家・管理会社が不安を感じる理由
  3. 入居審査で確認されやすいポイント
  4. 借りやすくするためにできる準備
  5. 困ったときに相談できる制度・窓口

高齢者は本当に賃貸住宅を借りにくい?

借りにくさを感じる人がいることは、調査にも表れています。国土交通省の資料では、2021年度の調査で高齢者の入居に何らかの拒否感を持つ賃貸人が約7割でした。ただし、この数字は「すべての大家が入居を拒否している」という意味ではありません。「以前より拒否感が弱くなった」という回答も含み、賃貸住宅管理業に携わる187団体を対象とした意識調査です。

貸主側の意識約7割高齢者の入居に何らかの拒否感
借り手側の経験26.8%65歳を超えてから年齢を理由に断られた経験

借り手側を対象にした2023年の民間調査では、65歳を超えてから賃貸住宅を探した500人の26.8%が、年齢を理由に断られた経験があると回答しています。調査対象や方法が異なるため二つの数字を単純に比較はできませんが、「まったく借りられない」のではなく、「選択肢が狭まりやすく、準備が重要」と捉えるのが実態に近いでしょう。

出典:国土交通省「高齢者等に対する大家等の意識、入居制限の理由」、国土交通省資料「高齢者に対する大家による入居拒否の現状」

大家・管理会社が不安を感じる主な理由

室内での死亡と発見の遅れ

国土交通省の2021年度調査では、高齢者の入居を制限する理由として「居室内での死亡事故等に対する不安」が90.9%を占めました。家賃の支払いだけでなく、発見が遅れた場合の対応や原状回復、契約終了後の残置物などを心配していることが分かります。

緊急時の連絡先が確保できるか

体調が急変したときに誰へ連絡するか、連絡先が現在も有効かは、管理側にとって重要です。家族がいない場合でも、友人、支援者、居住支援法人などを含めて連絡体制を相談できることがあります。

収入と家賃の継続的な支払い

年金を含む毎月の収入、預貯金、家賃と収入のバランスなどが確認されます。年金は継続性のある収入として扱われることもありますが、審査基準は物件、管理会社、保証会社ごとに異なります。

認知機能や健康状態への心配

契約内容を理解できるか、火の管理や近隣との生活に支障がないかを心配される場合があります。ただし、年齢だけで一律に状態を決めつけるのではなく、本人の状況と利用できる支援を個別に確認することが大切です。

入居審査で確認されやすいポイント

確認項目準備しておきたいもの・考え方
支払い能力年金額が分かる書類、預貯金の状況、無理のない家賃帯
保証利用できる家賃債務保証会社、連帯保証人の要否
緊急連絡先家族・親族に限らず、継続して連絡できる人や支援機関
入居後の支援見守り、訪問、介護・医療サービスの利用状況
本人確認・意思確認本人が契約内容と住み替えの条件を理解していること

審査条件は一律ではありません。不動産会社へ最初に年齢、収入の種類、緊急連絡先の状況などを伝え、高齢者の入居相談に慣れた担当者や物件を探してもらうと、やり取りの負担を減らせます。

賃貸住宅を借りやすくするための5つの準備

1. 家賃を無理のない範囲にする

毎月の年金やその他の収入から、家賃だけでなく管理費、光熱費、医療・介護費まで含めて継続できる金額を考えます。希望条件に優先順位をつけると、紹介可能な物件を広げやすくなります。

2. 必要書類を早めにそろえる

本人確認書類、収入を示す書類、緊急連絡先の情報などを準備します。預貯金審査に対応する物件もありますが、必要な残高や書類は不動産会社へ確認してください。

3. 高齢者対応の保証会社を相談する

連帯保証人がいない場合でも、家賃債務保証会社を利用できることがあります。商品によって対象年齢、保証内容、費用、緊急連絡先の条件が違うため、先に比較します。

4. 緊急連絡と見守りの体制を示す

「何かあったときに誰が確認するか」が分かると、貸主側の不安を具体的に減らせます。家族による定期連絡、地域の支援、見守りサービスなど、本人が無理なく続けられる方法を選びましょう。

5. 高齢者の住まい探しに慣れた窓口へ相談する

一般の物件検索だけで断られ続けると、時間も気持ちも消耗します。居住支援法人、自治体の住宅相談、居住支援協議会など、高齢者の住まい探しを支援する窓口へ早めに相談するのも一つの方法です。

見守りを付ければ必ず審査に通るわけではありません

見守りは貸主側の不安を減らす材料の一つですが、入居審査を保証するものではありません。通知後の連絡先や対応者まで決めて、実際に運用できる体制として伝えることが重要です。

困ったときに相談できる制度・窓口

セーフティネット住宅

高齢者などの「住宅確保要配慮者」の入居を拒まない住宅として登録された賃貸住宅です。対象とする入居者の範囲は住宅ごとに異なるため、セーフティネット住宅情報提供システムで条件を確認します。

居住支援法人・居住支援協議会

住まいの相談、物件情報の提供、入居手続きや入居後の生活支援などを行います。提供内容は地域・法人によって異なります。2025年10月に施行された改正住宅セーフティネット法では、居住支援法人などが大家と連携して入居中を支える「居住サポート住宅」の制度も始まりました。制度の概要と地域の窓口は国土交通省の住宅セーフティネット制度から確認できます。

まとめ:年齢ではなく、安心して貸せる条件を整える

高齢者の部屋探しでは、物件の選択肢が狭くなる場合があります。一方で、支払い能力、保証、緊急連絡先、入居後の支援を整理し、高齢者の受け入れに慣れた窓口へ相談することで、選択肢を探しやすくなります。

断られたときも「高齢だから仕方ない」とすぐに諦めず、どの条件が難しかったのかを確認しましょう。別の保証会社や支援制度を使える物件なら、相談が進む可能性があります。

この記事は一般的な情報をまとめたもので、特定の物件の入居審査や契約成立を保証するものではありません。制度や支援内容は地域・事業者により異なるため、最新情報を各窓口へ確認してください。

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